Life is Really Short, Have Your Life!!

ござ先輩の主に技術的なメモ

ソフトウエアの値段付け~買い切りと月額料金を再考する~

すごく簡単にいえば、ソフトウエアの価格付けというのは「製品」と「サービス」によって違う。Officeソフトのようにそれ自体で完結したソフトを売る場合は買い切りで、Webサービスとして提供する場合はサーバー利用料等が発生するので月額料金になることが多い。

企業向けのパッケージ(特に販売管理)においてはWebアプリケーションは少なくC/S型のシステムが結構多い。Webアプリ以前より作られているから歴史的に見て意味当然なんだけど、このC/S型のシステムはメンテナンスコストが非常に高くなる。環境が顧客の利用環境に閉じてしまっているので、何かトラブルがあったら飛んでいかないと直せないし、パッチを当てることも難しい。VPN経由で遠隔リモートデスクトップみたいなことも可能なんだろうけど、まぁExcelやWordとは事情が違う。

情報システムはExcelやWordといったソフトと何が違うのかというと、データの共有という大きな問題がある。Excelは元々表計算ソフトですから、絶望的に情報共有には向かない。販売データ、在庫データ・・・そういったものをどの端末でも整合性を取ってシェアできるようにというシステムならではの要件がそこにあるわけで。それがなければ、自分の中だけ完結したフリーソフトでも使ってねで済むんだけど、商売にならんw

「カスタマイズやバージョンアップ等を行う」=「技術者を張り付きにして対応する」と考えて概ね問題ない。ソフトウエア屋からすればリソースが逼迫されることにつながるので、はじめからそれを見込んだ価格設定になってしまう。技術者のリソースがない会社からすれば、買いきりでやる場合は必ずその環境で閉じた内容で、カスタマイズ等は一切できない製品としての販売にならざるを得ない。運営コストが無駄にかかる状況には出来ない。

これに対しWebアプリの場合はソフトウエアの更新(正確には配布コストかな)がとても簡単だ。大元のPHPを書き換えれば全員にその変更が反映される。通信を前提として機能の呼び出しをするので、来訪者によって処理を分けたり(未入金の顧客だったらログイン不可等)の制限もできる。所有権をあくまでソフトウエア屋に持たせることが可能なので、メリットは大きい。

デメリットは買い切りに対応することが事実上不可能なこと。ソフトウエアの運営コストはソフトが動く限り永遠に自分たちで負担しなければならない。PCAクラウドは買切りプランを用意してるけど、元々あったC/S前提のシステムを買い求める必要がある。

リースのように5年契約で月額ナンボで縛ればいいだけの話かもしれないけど、ソフトウエア=Excelの価値観の方すれば動作環境が云々とかはイミフになるわけで、「え?使い続ける限りずっとお金がかかるの?」という話にWebアプリの場合はなりやすい。

いつかは支払いが無くなるという非常に大きなベネフィットに負けないような月額設定は、かなり難しい。インフラとしての課金(家賃が代表例)が受け入れられるには、買い切りではこんなにコストがかかるんですよ && インフラのように使い続けるだけでコストがかかるんですよからのリーズナブルなお値段を出す必要があり、多くの場合は価格を下げざるを得なくなってしまう。となると、Web&月額課金でやる以上は数を叩いてナンボになってしまうのが辛い所。BtoBはここがネックなのかもな。

フリー/プレミアムのような機能別の課金設定なのか、ソシャゲっぽくオプション別課金なのか、利用年数に伴ってディスカウントなのか、色々と色を付けることはできるけど、決められた月額料金から大きく逸脱することは不可能だ。月額1万なのにオプション2万ってどんだけーって思うでしょ。

色々書いたけれど「会社で商売をやる以上、運営し続ける限り最低限これだけのコストはかかるし手間がかかるじゃないですか。それと一緒ですよ」っていうツカミから、どれだけリーズナブルな価格を出していけるのか。そこなのかなって思います。