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ござ先輩の主に技術的なメモ

職人は工業化に殺される宿命なのかな

アパレルの裏事情 を読んだ。全く他人事に思えません。僕の勤めている会社はルームウェアやエプロンなどの生活雑貨を取り扱っていますが、似たようなものです。日本と中国で同じ物を作るなら中国のほうが圧倒的に低コスト。日本だと3000円かかるものが、中国は1000円で出来ちゃうのでみんなそっちにいく。

実は服飾雑貨に関わるまで、縫製ってある程度機械が自動的にやっているのではないかと思っていましたが、決してそんなことはなかった。認識甘かった。僕らプログラマがシステムをカタカタ作るように、家を建てるのに職人が施工するように、縫製の職人が手でミシンを動かしています。当たり前なんですが、何かを作るということは必ず人の手が必要になる。

中国にアパレルの生産工場が移ってから衣料がどんどん使い捨ての対象になっているようで、個人的には嫌悪感を覚えている。人手が入る以上、品質の高いものを作るためには、品質の高い成果を提供できるプロがいなくてはならない。その道30年のプロと素人があげた天ぷらがどっちがうまいかは明らかだ。しかし、技術それ自体は1円にもならないという不都合な真実がそこに立ちはだかる。

原材料費(アパレルの場合は生地代かな?)に大差がなく、ブランド力の無い多くのメーカーにとってすれば、工賃を圧倒的に下げればそれをウリに低価格というとても強力な競争力を得ることが出来るので、同じコトをやる会社が後を絶たない。ダンピングがあちらこちらで起き始める。最終的に疲弊するのは自分たちなのにな・・・。

低工賃でも仕事があるだけマシじゃないか、という意見には賛同できない。未来がない仕事を極めようというキチガイはいない。職人は減る一方だ。本来10時間かかる仕事を1時間で出来る職人には1時間分の工賃払えばいいじゃない、という発想は職人を殺す。技術は無駄を削ぐことで身につくんじゃなくて、無駄を食って身につく。そこには目に見えないコストがある。そこを「無駄」と考えられてしまっては、進歩が止まってしまう。

属人性の高い知識や技能をお金に変えることを、これからも考えていきたい。