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ござ先輩の主に技術的なメモ

仕事をITに乗せ変えるだけじゃダメ

その通りだ。やっと自分のジレンマが可視化できた。

でも、まだもやもやしているから輪郭を書き出す。

ITというと「そんなものは結局枝葉末節で自分の仕事の本質とは何の関係もない」と思う人が多いだろう。私もそう思う。日本でITというのは、「今ある仕事をコンピュータシステムに乗せること」だ。私はそれを商売にしているから余計実感するが、そんなことをしても何も変わらない。便利になることと余計面倒になることが半々でトータルでは大して変わりがない。

ITが本当に力を発揮するのは、「先にコンピュータシステムを作って、その回りに人を配置して仕事にする」時だ。コンビニチェーンもDELLもアマゾンもそういうやり方でITを使っている。そういう使い方をするとITは本当に力を発揮する。日本がこれから競争していくのは、そういうタイプのITだ。身の回りにある「なんちゃってIT」でこれを判断してはいけないと思う。

原油高と同じくらい深刻な「ホワイトカラーの仕事破壊」 - アンカテ

僕は今自分の会社の業務システムをゼロから組んでいるが、まず第1ステップは「今ある仕事をコンピュータシステムに乗せること」だった。

何が出来て何が足りないのかを知る為に、そして今の仕事を回さなければカネにならないので業務を止めない為に、どうしてもそうなった。

まず乗せてみようよ、その次に何が足りないのかを考えようよ、って感じ。

でもそんな考えで外部に投げたら(゚∀゚)アヒャアヒャヒャなお値段になる。多分1000万は超えるし、そんな大金をかけても「そんなことをしても何も変わらない」のだから、業務システムにお金をかけるということはドブに捨てていいお金でやるってことになる。

多くの中小企業がIT導入が出来ない理由はそこで、「コンピュータシステムを作って仕事をする」ということがリスクマネーになっちゃってる上にどういうことかを説明でき構築できるヒトがいない。

だってIT無くても仕事が回っているうえに、メリットデメリットが別の形で現れるだけで現実は変わらず構築費用だけがかかる絵になるんだから。

とりあえずホームページを作って楽天に出店してみるのが精一杯になるのは明白なことだと思う。

「手作業でやっているものを単に代行するソフトウェア」ならお金は安くなる。送り状発行とか。でも、会社としての進化がない。そりゃそうだ。変革を促すことはできないよね。

今ある仕事をコンピュータシステムに乗せてみたら、多くの目に見えない判断業務を可視化するためにシステムの機能を追加することになり、背骨がだんだんと曲がり始めて高度なバッドノウハウを必要とするようになってしまい、業務を良く知っているヒトが空気を読まないといけないようになってしまった。造り手と使い手の埋まらない溝が深くなってしまった。なんつーことや。

自分も同じ業務を行いそれで得た経験を元に1週間かけてそいつを作り直して背骨をまっすぐにし、指がちゃんと動くようにしたものを作った。

それでも、「そんなことをしても何も変わらない。便利になることと余計面倒になることが半々でトータルでは大して変わりがない。」という状態から脱却できなかった。

「今ある仕事」ってのは色んなフェーズがあって、それをちゃんとつなぐようにならないと部分最適の集合体が面倒なことばかりを引き起こすので、便利になったようで別の面がものすごく面倒になってしまうのが、まず理由にあった。当初はそれが全てだと思ってた。

でも、全部の仕事を乗せたとしても、「これが出来たら便利だな、でも現実は変わらないな」ってのは変わらない。

これではどぶに捨ててもいい(回収しなくてもいい)おカネしか出せない、という問題はついてまわった。

何が足りなかったんだろうって思った。

それがessaさんが書かれている「システムにヒトを配置して仕事にする」ことだってことに、今気づいた。

そこまでいって初めて、「(直接的に)経営に貢献できるシステム」が出来上がる。ウチのような卸の場合はメーカーや物流を巻き込んでシステムにヒトを配置しないとその状態が作れない。

やっとここまで見えてきた。

先は遠くまで見えても、扉を叩いてノブを開けてさ、現実に出来るのは「1つ先の未来」がほとんどだね。

はじめから「先にコンピュータシステムを作って、その回りに人を配置して仕事にする」為には、自社のビジネスモデルと業務手順を網羅してなければ難しくて、それはもう未来を作ることに匹敵する不確実性を伴うから、AsIsが「今ある仕事をコンピュータシステムに乗せること」でToBeは「先にコンピュータシステムを作って、その回りに人を配置して仕事にする」を描けるようにならないと、ダートの道を走るのに高度にチューンされたF1を導入して動かないみたいなオチになる。

でね、こっからがGoTheDistanceで書くべきネタになるんだけど、ITの真価を発揮する為に「先にコンピュータシステムを作って、その回りに人を配置して仕事にする」ことをやるためには、日本のSIerってそういうことをできるパートナーシップを築けるような仕組みになってるんだっけ、ってことにつながるんだよね。そしてスタートアップに必要なことや、これからのエンジニアのキャリアの考え方みたいなものも、色々浮かんでくるんだ。その先に見える未来が、ちょっと見えてきた。

とりあえずここまで。